言葉のパズル𓂏

アニメ&雑記ブログ

カミ様(小説)

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産声を挙げ最初に目にする人間は、愛しき母だった。

大抵の人間ならこの答えに矛盾は無く、幼子には疑問も無いに違いない、生命の全てを無意識に委ねるのだから、宿命はそこで決まってしまう。

 

子も母もお互いを選べないのは、自然界の法則であり人類の掟でもある、思想の優先権は母であり心の有り様も母の支配下に置かれる。

その疑問に気付くのは年を重ねた頃なので、もうその支配からは逃れられない、何せ逆らえば自分の生存にも関わるのだから。

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有り様と生き様のギャップに苦悩しながらでも、100円玉を握り締めコンビニに笑顔で向かう私だった。

 

別に生活に不自由は感じられず、母の念仏のような思想論にうなずいていれば、生存は保証された。

後に矛盾と言う概念は蒼き春の頃気付くのだけれど、その洗脳に似た支配は鎖のように私を縛り付けてしまった。f:id:sengasuki:20230514125041j:image